Interview
飲食業界の法律における豊富な実績で山翠舎のクライアントを守る
石﨑 冬貴
いしざき ふゆき
山翠舎賃貸 法務担当取締役
(外部パートナー)
小さなアクシデントが日々起こる食の現場を助けたい
「飲食店の方たちが本業に力を注げるよう、専門的な立場からバックアップしていく。その想いが山上社長と共通していました」
こう話すのは、飲食業界に特化した弁護士として活動している石﨑冬貴さん。山翠舎のグループ会社、山翠舎賃貸の法務担当取締役として、法務の側面から山翠舎を支えている。
2021年、山翠舎賃貸は飲食店の開業を支援するサービス「山翠舎オアシス」を開始した。物件探しから事業計画書の作成支援、開業後の集客フォローに至るまで、出店開業をフルサポートする。石﨑さんはその立ち上げから携わり、他企業にはない、山翠舎ならではの強みを活かしたサービス展開を提案した。
「当初山上社長からいただいたのは、飲食店向けのサブリース事業を始めたいというお話でした。しかし正直なところ、同じようなサービスは世の中にあふれている。それよりも、山翠舎が長年培ってきた、ノウハウとネットワークを活かした方がいい。古木を使った施工に適している物件を紹介したり、飲食店経営者が苦手意識を抱きがちな書類作成の手助けをしたりする方が差別化できる、と思いました。独立を目指しながらも、その方法が分からない人を応援できるサービスにしたかったのです」
山翠舎オアシスの始動を機に法務担当取締役となった石﨑さんだが、以前から顧問弁護士として、山翠舎が施工した飲食店からの相談に応じていた。現在も、山翠舎で店舗を作ったオーナー限定の会員制サロン「koboku俱楽部」のメンバーに、法律の観点からアドバイスし、飲食店経営で日常的に起きるトラブルを解決に導く役割を担っている。
「飲食店は細かい問題やアクシデントが頻繁に起きる場所です。仕入れ業者や近隣住民とのトラブル、契約書関係の不備、店で使用する機器の故障など、挙げればきりがない。ほとんどの場合、店のオーナーや経営者自身がそれに対処しますが、本当は専門家である私たちに頼んでもらう方がスムーズに解決できるのです。飲食業界の事例を多く経験してきた自分であれば、きっとお役に立てると思いました」
悲しい気分も晴らす、飲食店の楽しい空間に心惹かれて
石﨑さんは弁護士でありながら、焼肉店オーナーの顔も持つ。「飲食店の仕組みを身をもって経験したい」と2年ほど前にオープンした。そこまで飲食業界にこだわるのは、ただ「食が好き」ということだけが理由ではない。
「関わる人全員がハッピーエンドになる弁護士の仕事は、ほぼありません。対立している者同士の弁護をするわけですから、こちらが勝てば相手が泣くし、相手が勝てばこちらが泣く。紛争の渦中に入っていくこの仕事に、虚しさを感じていた時期もありました。ただ飲食店という空間には、悲しい気分をも晴らす、明るい雰囲気がありますよね。テーブルを囲むお客さんも、お店側の人もみんないつも楽しそうで。その輪の中に入り飲食店を支えられれば、間接的ではありますが、たくさんの人を幸せにできると思ったのです」
山翠舎との出会いは5年前に遡る。石﨑さんは飲食店を取引先に持つ企業向けの、法律知識に関するセミナーで講師を務めていた。そこで聴講者だった山上社長と知りあったのだ。その後「飲食店の法律問題に強い石﨑さんを顧問弁護士としてお迎えしたい」という申し出を受ける。石﨑さんもまた「内装デザインや施工にとどまらず、飲食業全般のサポートをしていきたい」という山上社長の姿勢に惹かれたという。
「山翠舎は90年以上経営が続く地に足のついた会社ですが、山上社長はフットワークが軽く、ベンチャー気質の人。実際に仕事をしてみると、そんな社長の印象どおり、臨機応変さとスピード感を持って事業を推進していることがわかりました。プロジェクトを進める上では次々と提案を求められるため、それに応じる社員の方は大変かもしれません。ですがアイデアや意見を否定されることはまずないです。社員に対して一人ひとりの発言や考え方を尊重していると感じますし、それが社風にもなっています」
飲食の本業に徹してもらうために支援していく
飲食業界の法律問題に取り組み始めて7年。飲食店を経営するシェフやオーナーに対し、石﨑さんは「食の道に全力を尽くしてほしい」という想いを抱いている。山翠舎のほかにも、フードビジネスを法的に支援する組織「フードビジネスロイヤーズ協会」を立ち上げ、飲食業界のトラブルを円滑に解決できる体制の構築に力を注ぐ。
「飲食店を営む方たちには、本来の使命であるおいしさの追求やメニュー開発にできるだけ集中してほしい、というのが食を愛する私の本心です。店のPRやスタッフの教育などの大事な業務もあり、日々忙しいはず。ですから、本業に直接関わらない作業はその道の専門家にぜひ任せてほしい。それが一番効率がいいし、店そのものの価値も向上すると思います。山上社長率いる山翠舎は店舗デザインや施工の面から、私は法的な面から、飲食業界全体を支えていくことができたら本望です」