Interview

家具営業60年の

キャリアを振り返って

池内 信二 (いけうち のぶじ)
 
山翠舎 家具事業部長。
1940年、長野市生まれ。
高校を卒業し、18歳で地元の家具メーカーに入った。会社が倒産するまで、そこで40数年働いた。その後山翠舎に転職し、今、15年ほどが過ぎようとしている。
通算60年超。家具営業だけをやり続けた。
今年(2019年現在)、79歳。後継を育て上げたところで、引退する心づもりだ。
若いころはさんざんお客さんに怒られてたよ。
 
1958年は就職難の年だった。高校で家具の実習販売をしていた池内さんは、その経験をきっかけに、地元長野の家具メーカーに入社した。家具のイロハもなにも知らないなか、池内さんは営業職に就いた。

ところが、営業の先輩や同僚たちの転職が重なった。入社早々、家具営業の仕事は池内さんが一手に担うことになった。手取り足取り教えてくれる先輩はいなかった。知識も経験もないなか、手探りで進んでいくほかなかった。
 
「若いころはさんざんお客さんに怒られてたよ」と、池内さんは振り返る。
 
どんな相手であろうとコミュニケーションを成立させ、敵を作らない、そんな今の池内さんも、若いころは人とのやりとりでしくじることもあり、当然、よく怒られたというのだ。
営業の鉄則はフィールドワーク
 
それから60年、ひたすら学び続けた。家具を構成する木材と樹種の特性、組立の知識、加工の知識。自分が家具を作るわけではないが、お客さんに家具を提案するのは池内さんの仕事だ。
さまざまなメーカーの商品リストも、新しいものが出るたびに取り寄せ、頭にたたきこんでいった。とにかく学び、吸収すること。
自分でできることを地道にやり続けた。名実ともに家具営業のトップになった。

そんな池内さんが「営業の鉄則」としているのが、フィールドワークだ。ときに大きなお金を動かすゼネコンを相手に、ときに下請け工場の昔気質の職人を相手に。それぞれの現場へ顔を出し、家具の寸法確認はもちろん、人に絡むもろもろの利害、気持ちを調整していく。現場によっては週2ペースで顔を出す。どちらからも信頼される人であり続けなくてはいけない。

「10人を相手にして、1人にでも恨まれることをしたらダメ。同じ性格の人なんていないから。それでも恨まれないようにするには、完全な仕事をすることだね。たとえ納期がないものでも、頼まれた限りはなんとかしないといけない」
家具は最後の仕上がり商品

「仕事で困っている人がいたら絶対に助けること。そのときに忙しいからって言って相手の足元を見て、1万円でできるところを1万5,000円でって言ったら、そのあともう仕事は来ないからね。そうやってきたから、ここまで続けてこられたんだと思う」
 

池内さんにとってこうした人とのやりとりの機微は、明文化できるスキルではなく、ただただ現場で自然と身につけてきたものだった。
そうした無数のやりとりを経て家具は作られ、納品される。池内さんは家具のことを、「いちばん最後の仕上がり商品」だという。

「家具っていうのは、お客さんの目につくところ。建物がいくら綺麗にできていようが、最後の家具の仕上がりっていうのが、すごい大事なんだよ」

山翠舎では今、池内さんの後継者を募集している。

池内さんは、後継者に一通りのことを教え引き継いだところでリタイアを考えている。その後は「ボケ防止に野菜づくりでもやるかな」と話す。

山翠舎では
池内さんの後継者を
募集しています。

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