Interview

長い年月を経て味わいを醸し出す「古木」を使い、お客様に託された夢を形に

 

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星野 裕恵
ほしの ひろえ
 
株式会社 山翠舎
インテリアデザイナー



 
自分が手がけた空間の中で過ごせる幸福感は格別
 

空間デザイナーを務めている星野 裕恵さんは自身の仕事について「お客様が人生をかけて叶えようとしている夢のお手伝いができる素晴らしい仕事です」と話す。3年前の入社以降、数々の店舗の設計やデザインを担当し、ひとつひとつの依頼に真摯に向き合ってきた星野さんには忘れられないお客様がいる。


「東京から山梨へ移住し、レストランの開店をめざしているご夫婦でした」


ご夫婦は長期間をかけて味わい深くなる古木の在り方に共感し、山翠舎へと依頼。星野さんは2人の希望を叶える店にすべく、何度も打ち合わせを重ね、長野県大町市にある工場にも足を運んで、共に古木を選定した。その過程で、ご夫婦の開店にかける熱意や覚悟に何度も触れ、“こんなにも大きな夢を私たちに託してくれているんだ”と胸が熱くなったという。


レストランの建設地は、山梨県と長野県にまたがる甲斐駒ヶ岳を眺望できる場所。ご夫婦は「甲斐駒ヶ岳の美しい山容を見ながら、食事を味わってほしい」とその土地を選んだという。そのエピソードを聞いた星野さんは、甲斐駒ヶ岳をイメージした大きなアートパネルを古木で製作。ご夫婦も大変気に入り、店のシンボルとして飾られた。

「引き渡しの際、奥さまは涙を流してくださったんです。私も完成した喜びと、もう頻繁には会えなくなる寂しさで泣いてしまいました。レセプションパーティーでは『今日は星野さんに会えるから準備を頑張ったの』と言ってもらえて、言葉にならないほど嬉しかったのを覚えています。そして自身の手がけた空間で食事ができるという素晴らしい体験もできました。デザイナー職には、Webデザイナーやグラフィックデザイナーなど、いくつか分野がありますが、唯一自分のデザインの中に入れるのが空間デザイナー。時間をかけ、想いを込めて作ったものに包まれる幸福感は格別です」

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台湾で出会った人の言葉が入社のきっかけに
 

埼玉県で、三姉妹の末っ子として育った星野さんは、歳の近い姉たちと様々な遊びをして幼少期を過ごした。中でも段ボールを使って家を制作した時は夢中になったという。


「その日は手作りの段ボールハウスに布団を敷いて寝ましたが、ワクワクが止まりませんでした。いつか本物の家を作りたいと、その時に思ったんです」


進学先の美術系専門学校で、中国からの留学生と親交を深めた星野さんは、次第に中国への探求心を膨らませていき、卒業後は台湾へ移り住んだ。オフィス設計の会社でデザイン職に就いたものの、オフィスとしての機能性ばかりを重視する設計が多く、人の想いを形にできないことにもどかしさを感じるようになっていった。さらに移転が多い企業ではオフィス自体の寿命が短く「もっと長く残る建築物を作りたい」という気持ちが大きくなり、退職して帰国。


新たな仕事を探していた星野さんの目に飛び込んできたのは、「木が好き、空間が好きな方、募集」という文字。山翠舎の求人広告だった。


「『木が好き』というワードを見てすぐに思い浮かんだのは台湾で知り合った職人さんたちの言葉でした。台湾には日本の古木をベースとしている建築物がいくつもあり、『日本の建築技術や材木は素晴らしい』といろんな大工さんに言われたんです。木造建築や古民家を扱う山翠舎なら、台湾で聞いていた技術を知れるかもしれない。大好きな空間づくりにも携われる。ここだと思いました」

好きの赴くままに進んだから山翠舎に辿り着けた
 

山翠舎への入社を熱望した星野さんは、ホームページに掲載されていた施工事例の店舗へいくつも出向き、店内のスケッチや理想の平面図を描いて自身のデザイン力と提案力をアピール。当時デザイナーは募集していなかったが、確かなスキルと情熱が山上社長に伝わり、採用に至った。


「常に変化を恐れない人」と星野さんが話す山上社長をはじめ、山翠舎にはプロフェッショナルが集結している。ひとつの打ち合わせに臨むだけでも準備に余念がなく、常にストイックに力を注ぐ社員たち。飲食店や物販店など商業のプロであるお客様や、現場の職人の知識量にも日々圧倒される。「能動性が求められる職場。人生をかけてこの仕事をしないと一流になれないと実感します」と星野さんはいう。
建築士の資格取得や中国語の上達といった自身の目標を掲げる一方で、枠にとらわれず自分の好きなことに向かって突き進みたいと未来に夢を膨らませる。


「今までも好きなことを追い求めていたから、デザイナーになれて山翠舎に出合えた。だからこれからも好奇心に正直に行動すれば、いつの間にか『なりたい自分』になれているはずだと信じています」

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